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リスキリング助成金とは?助成率・上限と申請方法【2026年度が最終・最大75%】

結論から言うと、企業のリスキリング研修に使える国の代表的な助成金は「人材開発支援助成金」の事業展開等リスキリング支援コースです。中小企業なら研修経費の75%(1人1訓練あたり最大50万円)+訓練中の賃金1時間1,000円が助成されます。ただしこのコースは令和4〜8年度の期間限定制度で、令和8年度末(2027年3月31日)に終了予定。2026年度が申請できる最終年度です。

計画届は「訓練開始の6か月前〜1か月前」に提出が必要なため、年度内に研修を実施するなら逆算して早めに動く必要があります。この記事では、助成率・上限額の正確な数値(令和8年度版)、AI研修などが対象になる条件、申請の流れ、いくら戻るかの計算例までを、厚生労働省の一次資料に基づいて解説します。

📌 この記事の数値はすべて厚生労働省の令和8年度版パンフレット(2026年5月14日版)で確認しています。 ネット上の解説記事には旧年度の数値(賃金助成960円/480円など)が残っているものが多いため、申請前に必ず最新の公式資料をご確認ください。→ 出典一覧

リスキリング助成金とは?「その名前の制度」は存在しない

「リスキリング助成金」という名称の単一制度はありません。一般にこう呼ばれているのは、主に厚生労働省の「人材開発支援助成金」のうち、リスキリング(学び直し)に使えるコース群のことです。

企業のリスキリング研修に使える制度は、大きく次の4つです。

制度・コース対象経費助成率(中小)特徴
事業展開等リスキリング支援コースDX・新事業に伴う訓練75%本命。ただし2026年度で終了予定
人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)ITSS/DSS-Pレベル3・4の高度訓練75%エンジニア向け高度研修。同じく2026年度まで
人材育成支援コース職務に関連する一般的な訓練45%〜恒常的なコース。汎用
東京都 DXリスキリング助成金都内中小企業の3〜10時間未満の研修3/4(上限7.5万円/人)国の制度と補完関係(併用は不可)

この記事では、助成率が最も高く「リスキリング助成金」の実質的な本体である事業展開等リスキリング支援コースを中心に解説します。

事業展開等リスキリング支援コースの助成率・上限【令和8年度】

項目中小企業大企業
経費助成率75%60%
賃金助成(1人1時間あたり)1,000円500円
設備投資加算【令和8年度新設・中小のみ】導入費用の50%

経費助成の上限額(1人1訓練あたり・実訓練時間数別)

実訓練時間中小企業大企業
10時間以上100時間未満30万円20万円
100時間以上200時間未満40万円25万円
200時間以上50万円30万円
eラーニング・通信制15万円10万円
  • 受講回数の上限:1人につき1年度3回まで
  • 1事業所の年度上限:1億円
  • 賃金助成の上限時間:1,200時間/人
  • eラーニング・定額制(サブスク型)研修は経費助成のみ(賃金助成は付きません)

どんな研修が対象?(AI研修・DX研修の適用条件)

対象になるのは、次のいずれかに該当するOFF-JT(業務から離れて行う訓練)です。

  1. 事業展開(訓練開始日から3年以内に実施予定、または6か月前までに実施)に伴い、新分野で必要となる知識・技能の訓練
  2. 企業内のDX化・グリーン化に関連する業務に必要な知識・技能の訓練 ← 生成AI研修・AI活用研修はここに該当し得ます
  3. 【令和8年度新設】人事・人材育成計画に基づき、今後(3年以内)従事予定の職務に必要な訓練 ※中小企業は認定経営革新等支援機関による計画の事前確認が必須

共通の基本要件

  • 実訓練時間が10時間以上(eラーニングは標準学習時間10時間以上、または標準学習期間1か月以上)
  • 対象労働者は雇用保険被保険者
  • 訓練経費は事業主が全額負担(受講者に一部でも負担させると賃金助成を含め不支給)
  • 事前に職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定・周知が必要

対象にならないもの(見落としやすい注意点)

  • 「文章・数値の入力や書式変更程度の初歩的な操作のみ」の訓練(パンフレットに明記)。初歩的なPC操作・ツール操作講座はNG
  • AIツールの導入費用(研修費用は対象でも、ツール利用料・ライセンス費は対象外。「研修とセットならツール代も申請できる」という勧誘には注意)
  • 助成金利用者にだけ高い受講料を設定している研修の差額分(令和8年度から「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」の提出が必須化)

いくら戻る?計算例3パターン

例1:中小企業が30万円のAI研修(集合型・20時間)を5名に実施

  • 経費助成:30万円 × 75% = 22.5万円/人(上限30万円の範囲内)→ 5名で 112.5万円
  • 賃金助成:1,000円 × 20時間 × 5名 = 10万円
  • 合計122.5万円が助成 → 実費150万円に対して実質負担27.5万円(約18%)

例2:中小企業が10万円のeラーニング研修(標準学習時間15時間)を20名に実施

  • 経費助成:10万円 × 75% = 7.5万円/人(eラーニング上限15万円の範囲内)→ 20名で 150万円
  • 賃金助成:なし(eラーニングは対象外)
  • 合計150万円が助成 → 実費200万円に対して実質負担50万円

例3:大企業が50万円の研修(120時間)を3名に実施

  • 経費助成:50万円 × 60% = 30万円 → 上限25万円(大企業・100〜200時間)が適用 → 3名で 75万円
  • 賃金助成:500円 × 120時間 × 3名 = 18万円
  • 合計93万円が助成 → 実費150万円に対して実質負担57万円

※いずれも令和8年度の助成率・上限に基づく試算です。実際の支給額は労働局の審査によります。

申請方法:5ステップと期日

  1. 事前準備 — 職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を策定・周知する(計画届の提出日まで)
  2. 職業訓練実施計画届の提出訓練開始日の6か月前〜1か月前に都道府県労働局へ提出(電子申請可・GビズID必要)
  3. 訓練の実施 — 費用は支給申請までに支払いを完了しておく
  4. 支給申請訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請書を提出
  5. 支給・不支給決定 — 令和7年度以降、審査は支給申請後に一括して行われます。計画届が受理されても支給が確約されるわけではない点に注意

最大のつまずきポイントは②です。「来月から研修を始めたい」では間に合いません(1か月前締切)。年度末の駆け込みも、リスキリングコースは2027年3月31日で終了予定のため、終了間際の計画届・訓練実施がどこまで対象になるかは労働局への事前確認をおすすめします(運用細則は公式資料に明記されていません)。

令和8年度(2026年度)の主な変更点

  • 賃金助成の単価は中小1,000円/大企業500円(旧年度の960円/480円から改定。古い解説記事に注意)
  • リスキリングコースに**「人事・人材育成計画に基づく訓練」類型を新設**(中小は認定支援機関の事前確認が必須)
  • 設備投資加算を新設(中小のみ。訓練に伴う設備導入費の50%、1人15万円・1訓練150万円上限)
  • 価格設定に関する疎明書(様式第28号)の提出が必須化
  • 45歳以上を対象とする中高年齢者実習型訓練を新設(人材育成支援コース)

東京都内の企業なら:DXリスキリング助成金という選択肢

国の制度は「10時間以上」の研修が条件ですが、東京都のDXリスキリング助成金は「3時間以上10時間未満」の短時間研修が対象で、きれいに棲み分けられています。

  • 助成率:対象経費の3/4、上限75,000円/受講者・1研修1社あたり年間100万円まで
  • 対象:都内の中小企業等。DX推進に必要な知識・技能のOFF-JT研修(eラーニング可、サブスク型は不可)
  • 申請:研修開始予定日の1か月前まで(交付決定前に開始した研修は対象外)
  • 国・地方公共団体の他の助成金との併用は不可(同じ研修に国のリスキリングコースと二重で使うことはできません)

短時間の生成AI入門研修を全社に展開するなら都の制度、10時間以上の本格研修なら国のリスキリングコース、という使い分けが基本です。

よくある失敗5つ

  1. 計画届を出す前に研修を申し込んでしまう — 訓練開始1か月前までの計画届提出が必須。事後申請は不可
  2. 旧年度の数値で予算を組む — ネット記事の「960円/480円」「最大100万円」等は年度違いの可能性。必ず最新パンフレットで確認
  3. eラーニングで賃金助成も見込んでしまう — eラーニング・定額制は経費助成のみ
  4. 受講料を従業員に一部負担させる — 全額事業主負担が要件。一部でも負担させると賃金助成を含め不支給
  5. 「助成金対応・申請無料代行」の営業を鵜呑みにする — 申請代行は社労士の独占業務。訓練機関による無償代行の勧誘には公式パンフレットも注意喚起しています

よくある質問

Q. リスキリング助成金はいつまで申請できますか? 事業展開等リスキリング支援コースは令和4〜8年度の期間限定制度で、令和8年度末(2027年3月31日)に終了予定です。令和9年度以降の継続・後継制度は2026年7月時点で発表されていません。終了間際の計画届の扱いは管轄の労働局にご確認ください。

Q. 個人でも使えますか? 本記事の制度は雇用保険適用事業所の事業主向けです。個人の学び直しには雇用保険の教育訓練給付制度など別の仕組みがあります。

Q. eラーニングのAI研修は対象になりますか? 標準学習時間が10時間以上(または標準学習期間1か月以上)であれば対象です。ただし経費助成のみで賃金助成は付きません。上限も集合研修より低く、中小企業で15万円/人です。

Q. 1年に何回まで使えますか? 同一労働者につき1年度3回まで。事業所全体では年度あたり1億円が上限です。

Q. AIツールの利用料も助成対象になりますか? なりません。研修費用は対象ですが、AIツールの導入費・利用料は対象外と公式パンフレットに明記されています。ツール導入費が対象になるのは令和8年度新設の「設備投資加算」(中小のみ・要件あり)に該当する場合に限られます。

まとめ:最終年度のいま、何をすべきか

  1. 対象研修の要件(OFF-JT・10時間以上・DX関連)を満たす研修を選ぶ — AI研修の比較はこちら
  2. 訓練開始日から逆算して1か月以上前に計画届を提出する
  3. 助成金の申請サポートがある研修会社を選ぶと手続きがスムーズ — 助成金対応のAI研修一覧

出典(一次情報)

情報確認日: 2026年7月16日。本記事は公開資料に基づく解説であり、支給を保証するものではありません。申請にあたっては最新の公募要領・管轄労働局の案内をご確認ください。